危機的な状況にある言語・方言サミット(北海道大会)

イランカラプテ!キミです!

本日2017年12月3日は「危機的な状況にある言語・方言サミット」を見学してきました。

玉石混淆!?

北海道大学で行われたサミットは文化庁の主催で、アイヌ関係の団体や、大学などの研究機関が共催として名を連ねています。

このサミットはユネスコが日本国内の8言語・方言(アイヌ語【極めて深刻】、八丈語【危険】、奄美語【危険】、国頭語【危険】、沖縄語【危険】、宮古語【危険】、八重山語【重大な危険】、与那国語【重大な危険】)を消滅の危機にあると認定したことから行われているようです。それぞれの言語に関係している人が取り組みや現状の報告などを行いました。

アイヌ語は非常に深刻な状況におかれていて(僕自身も関わってはいますが)アイヌとして自分たちの言葉を何とか残していかなくてはいけないと再び強く思いました。

ゴールデンカムイのアイヌ語監修をされている千葉大学の中川先生の発表では、作品の中で描かれるアイヌがしっかりとした取材に基づいていて、今までの作品に出てくる適当に作ったようなアイヌのキャラクターとは一線を画しているとの事でした。これは多くのアイヌも感じている事で、アイヌ社会からもゴールデンカムイの評価は高いと感じています。ホロホロやナコルルとは違います。

他にも沖縄の各方言を残す活動をされている方々や海外のマイノリティの言語に携わっている方の発表など面白く役に立ちそうな内容も多くありました。

残念だったのは大会宣言の内容と閉会の挨拶でした。

大会宣言は二風谷のご家族が行い、宣言をしたご家族は一生懸命アイヌ語の保存活動に尽力されていて、まさに適任だと思います。ただし内容が「アイヌの先人はアイヌ語を残すために一生懸命努力をしてきました。それは多様性は素晴らしいものでアイヌ語は宝であるから。日本の文化の多様性を支えるアイヌ語を残すことに協力してください。」というようなものでした。一見問題ないような内容ですが、主催が国の機関の文化庁である事、サミットの開催理由が「ユネスコが危機的言語と指定したこと」に由来している事です。アイヌ語がこのような状況におかれることになった原因である日本国の政策(同化政策、日本語のみでの教育、行政上の手続き)を反省し謝罪することもなく、国際的な機関から指摘されると「我が国は取り組みを行っています。」という態度を表す事に使われていると感じずにはいられませんでした。

もう一点気になった閉会の挨拶は北大名誉教授の津曲敏郎氏が行いました。あいさつの中で「本当の意味での言語復興は難しいので、現状維持を頑張りましょう。行政などの手続きは日本語しか使えない」といった内容でした。日本以外の国の取り組みの発表では和者数が増加したことなど、ポジティブな内容があったにも関わらずです。現実にマオリはマオリ語を公用語にする事を勝ち取り行政上の手続きはすべてマオリ語でも行えます。他にもハワイでは博士課程までハワイ語で修了することができるようです。言語復興を行おうとする人たちが集まるサミットでなんて事を言うんだと自分の耳を疑いました。

僕は民族共生象徴空間にせよアイヌ文化研究推進機構(通称:財団)にせよ、国が主体となっている活動が本当にアイヌの為になっているのか常々疑問に思っています。アイヌという先住民族が日本国に良いように使われていると思えて仕方ありません。国際社会に先住民政策をしていますとアピールしつつ、アイヌを使った活動の利益を還元するつもりもないように思えます。

個々人は別としても日本国に対する不信感はぬぐいきれないので、僕は草の根活動でアイヌ文化やアイヌ語を残すことに取り組みたいと考えています。

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