僕の半生~サラリーマン時代

仕事はやりがいか給料か

イランカラプテ!キミです!

僕の生い立ち~高専時代の続きです。

高専卒業後、従業員200人程度の会社で機械設計士として働く事になりました。この会社で長く働く事はないと思いながらの就職で会社には申し訳なかったと思います。就職先を選んだ条件は関東にある会社かつ高専卒でも設計ができるという事でした。

高専の友達は名の通った大企業に就職、または進学した中で、あえて名前も知らないような会社に勤めたことが正しい判断だったのか自問自答していました。

時代はリーマンショック後間もなくで僕が就職したときには仕事が相当減っていたらしく、金曜日は休業日で週休三日制になっていました。新人研修を3カ月した後、新人はそれぞれの部署に配属されました。僕の配属先は、企業の研究室向けに実験機を受注生産する部署でした。実験機は機械部品で構成された治具のようなものから、パソコンからの操作で機械を動かしデータを取る物まで予算によって多岐にわたります。配属後すぐは部品図を描いたり組み立てを手伝ったりでしたが、少しずつ設計もさせてもらえるようになり、2,3年目には機械部分の設計を任されることも増えてきました。仕事は非常にやりがいがあり、その都度違った機械を0から設計できるのは楽しくて仕方ありませんでした。

仕事内容には十分満足していたのですが待遇面ではガッカリすることもありました。高専の同期と飲みに行くと特に痛感させられたのが、休みと給料についてでした。僕がいた会社は週休2日制でしたが祝祭日は出勤だったのとボーナスの少なさです。リーマンショック後景気が悪くなった事が原因ですが、4年目まで夏冬のボーナスとも給料1ヶ月分ほどで、同期が2,3か月分のボーナスをもらっている事との格差を感じずにはいられませんでした。

長く勤めることはないと思いながらの就職でしたが、最低3年は働こうと予定していたので、働きながら今後の人生をどのようにしていこうと考えていました。大学に編入するには苦手な英語を克服しなければいけないと英語の勉強をしたこともありましたが、長続きはしませんでした。独立するのも僕一人で出来ることには限界があり、十分な仕事をこなせるとは到底思えませんでした。スケッチや機械の設計はできますが、電気やソフトの知識も経験も不足していました。

給料に満足はしていませんでしたが、生活をしても蓄えられるだけの収入はあったので、長期休暇があると旅行に出かけていました(国内がメインです)。僕の旅行スタイルは東京からの往復チケットを安い時期に予約しておき、旅先の情報は極力調べずにとりあえず出かけてみます。到着したら現地の人におススメの観光地や食事をする場所を聞いて移動後安宿を探します。基本的にゲストハウスを利用しますが、野宿や漫画喫茶になってしまうときもありました。航空券を別にすると一日5,6千円もあれば、宿代、交通費、食費を賄うことができました。

旅行ではゲストハウスや地元の人が通う飲食店での人との交流が何より楽しく価値があるものでした。旅行を繰り返すうちに思ったのが、幸せってなんだろうとか地域の独自性とか自分の仕事についてでした。北海道から東京に移り住んで、遊んだり呑んだりする場所がたくさんあったり、交通機関が便利だったり良いことはあるけど、それって幸せなんだろうか。地方にも大型ショッピングモールができたり、飲食チェーンができてるけど、そのために地元のお店が廃業するのっていい事なのか。どんどん没個性になってしまわないか。機械は便利な社会を実現するためのモノだけど、それによって生産のスピードが早まったり、人間の仕事がなくなったり。一年で5台も10台も新型の携帯電話とかテレビとか車が発売されるけど、そもそもそんなにいるんだろうか。たくさんのモノに溢れるのって幸せからどんどん遠ざかっているような気がしていました。

旅先では僕がアイヌである事を話すこともありました。少数派(マイノリティ)が自らの背景を語れないのはその先に不利益を被る可能性があるからです。いじめられる、嫌われる、今までの関係がなくなる、そのような事を想像するとあえて言う必要性を感じないからです。でも旅先であれば失うものなんてありません。自分の背景を話すと気が楽になるものです。「アイヌに興味がある人ってそれなりにいるんだな」そんな事を思うようになりました。

そのうちに地元二風谷の事を考えるようになりました。アイヌ文化という強烈な個性を持っている地域でコンビニもない、チェーン店もない。不便だけどその方が旅行先としては価値があるんじゃないだろうか。二風谷での日常は都会の人からみたらとんでもない非日常じゃないだろうか。二風谷に戻ってゲストハウスを始めたら面白そうだなと思うようになっていました。

次の記事⇒僕の半生~二風谷に戻って

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする