地鎮祭(ゲストハウス進捗00)

イランカラプテ!キミです!

ゲストハウスが着工になる前2017年11月6日に建設予定地の地鎮祭を行いました。

アイヌ式で地鎮祭を行う

簡易的ではありますがアイヌの風習にならい地鎮祭を行いました。

建設予定地には以前観光用の伝統家屋(資料館の屋外展示の一部)が建っていましたが、2012年8月に漏電が原因の火事で焼失してしまいました。その建物には古くから祖父の手伝いをしてくれていた工芸作家さんご夫妻がいて、資料館に来たお客さんに手仕事を見せてくれていました。建物内には作家さんの作品があり焼失させてしまった事を非常に申し訳なく思いました。

その土地に新たにゲストハウスを建てるので、気持ちの整理をつけるために何かしたいという思いでした。現在の地鎮祭は神式で行うことがアイヌの間でも一般的になっていると思います。しかし、アイヌの伝統文化・風習を残すための資料館であり、屋外展示である事、ゲストハウスもアイヌの伝統文化を残し、伝える事を目的にしている事もありアイヌ式で行いました。

伝統家屋を建てる場合は、家が完成した時に囲炉裏になる場所に三脚を立て、そこに鍋を掛けるフック(炉鉤)を吊るし、その下で火を起こして火の神に祈りを捧げます。アイヌのお祈りは火の神なしには語れません。これは火の神が人間のすぐそばにいる存在であり、私たちの言葉を神の世界に伝えてくれる役割を担っているとの考えからです。三脚と炉鉤は簡易的に家を模しもので、三脚は伝統家屋の屋根を支える肝となる部分であるからだろうと祖父は言っていました。

しかしゲストハウスには囲炉裏がありません。火がある所はストーブとキッチンです。ストーブは灯油ストーブで火に直接触れないので、煮炊きをするキッチン(ガスコンロ)がより火の神に近いだろうと考え、キッチンになる予定の場所に三脚を立てました。

少し話は変わりますが、数十年前まで新年を迎えるとアイヌの儀式を執り行える人が家々を周り、先祖供養をするのが一般的でした。当時ほど数は多くないでしょうが今でもしている人はいると思います。父から聞いた話ですが、その時に父の母方の祖父、僕の曽祖父は儀式をするために地域の人の家を回るのですが、家のストーブが薪か灯油かを尋ね、灯油の場合は七輪と炭を持参して儀式をしたそうです。つまり火に直接お酒や供物などを捧げる事ができる環境が必要であるという事です。

準備した場所で火を起こし、酒と供物を捧げて祝詞をあげ、誰も怪我をせず無事に家が建てられるように見守ってください、という気持ちを伝えました。

アイヌの風習で育った人のように上手にはできませんが、先祖や神様は聞いていてくれたと思います。

工事の様子はゲストハウス進捗01

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