道内外のアイヌ関連施設(阿寒湖畔)

イランカラプテ!キミです!

今回から「道内外のアイヌ関連施設」というシリーズを不定期で書きたいと思います。僕は二風谷以外の地域の事を細かく説明できるほどの知識も経験もないので、実際に僕が見たもの、聞いたことをメインに書いていきます。このシリーズに書かれている事がその地域のすべてではないし、地元の人は違う意見を持っているかもしれません。それを前提に読んでください。これからの記事がそれぞれの地域を知る機会や、観光客増加につながればうれしいと思います。

阿寒湖畔

阿寒湖周辺の住所は(2005年の合併後)釧路市阿寒町阿寒湖温泉です。阿寒湖は道東(北海道東部)に位置する「まりも」で有名な湖です。湖の南側に国道が通っていて観光地(温泉街、アイヌコタン、土産物店など)、ホテル、住宅地などがあります。阿寒湖やその周辺は「阿寒摩周国立公園」に指定されていて昔からの自然の姿が残っています。2017年に名称が変更される前は「阿寒国立公園」でした。

この地域は明治に前田正名翁に払い下げられた土地で、当初は開拓を考えていたようですが、手つかずの自然を残すことに価値を見出し、前田家が代々管理をしています。現在は「前田一歩園財団」が設立され管理されています。

アイヌコタン

阿寒湖畔が観光地になる中で、前出の前田家は阿寒湖畔の土地をアイヌに無償で貸し、観光に携わるようにいいました。現在でも多くの土産物店が軒を連ね、「アイヌコタン」として観光地になっています。

「阿寒湖アイヌシアター イコロ」ではアイヌの古式舞踊や劇などが観賞できます。アイヌの踊りが常時みられる所は道内でも少なく(おそらく、阿寒湖畔と白老だけ)珍しい観光地です。

阿寒湖周辺に古くから(明治以前から)住んでいたアイヌはおそらく少なく、現在のアイヌコタンの人たちは他の地域から移り住んできた人が多いです。中には僕の出身地平取町から移り住んだ人もいます。それでも移り住んでから2世代や3世代、中には4世代目になっている人もいて、ここが新しいアイヌのコタン(村)になっていると言えます。僕の妻はこの地域の出身で、妻の祖父(故人)が釧路から移り住みました。

阿寒湖畔で現在有名なのは、藤戸竹喜さんだと思います(藤戸さんは旭川出身で阿寒湖畔出身ではありません)。藤戸さんはクマ彫りとして木彫を始めましたが、クマ以外の動物や人物像など精巧な作品もたくさん作っています。最近では(2017年10月14日から12月17日まで)札幌芸術の森美術館で「現れよ。森羅の生命ー木彫家 藤戸竹喜の世界」という作品展が行われました。同じ作品展が2018年1月11日から3月13日まで大阪の国立民族学博物館でも行われます。

藤戸さん以外で阿寒湖畔にゆかりのある有名人は、砂澤ビッキ(木彫家、芸術家)、床ヌブリ(彫刻家)、山本多助エカシ(アイヌ文化研究者、著述家)などがいます。みなさん故人で、それぞれの出身地から阿寒湖畔に移り住んだ方々です。

ボッケ

 ボッケとは、アイヌ語の「煮え立つ」という意味のポフケ※が訛ったもので泥火山のことをいいます。100℃ほどの熱せられた泥が地下から火山ガスとともにボコボコと音をたて絶えず噴出しています。泥は盛り上がり、そこに熱泥が積み重なり異様な灰色の光景を作りだします。地熱があるため雪が降っても溶けてしまい積もることはなく地下の生命力を感じる事ができる場所です。

遊歩道の解説文より

前田一歩園の横を抜け、森の中の遊歩道を行くとボッケにたどり着きます。阿寒湖畔に温泉街であるのは活火山が近くにあるためです。火山の熱で温められた泥が湧き上がるボッケの姿は不思議な光景です。写真は真冬に撮った物ですがボッケのまわりには当然ながら雪が積もっていません。

※筆者注:恐らくポプケ/popke/の事だと思います。

ホテル

阿寒湖にあるホテルではアイヌの工芸作品・芸術作品を購入・展示していたり、後述のまりも祭りに参加する他地域のアイヌに宿泊場所を格安で提供してくれたりと、アイヌと友好的な関係を築けていると思います。ホテルと観光協会、地域のアイヌが連携してアイヌ文化を発信しています。

まりも祭り

阿寒湖畔でおこなわれる一番大きなお祭りが「まりも祭り」です。昭和25年から毎年10月8,9,10日に行われているお祭りで、アイヌの儀式や踊りが見られる祭りでもあります。

まとめ

観光という形を通して現在まで伝承されたアイヌの風習や踊りなどを見られる地域が阿寒湖畔です。アイヌの歌や踊り、土産物、食事などを手軽に(時間などの制約を少なく)楽しむには最適な場所だと思います。道東観光の際にはぜひ立ち寄ってみてください。

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