ゲストハウス創業まで~法令関係

イランカラプテ!キミです!

前の記事⇒ゲストハウス創業まで~融資を受ける

今回はゲストハウスを創業するために必要な許可などの事を記事にします。

旅館業法

日本の法律ではお金を貰って人を宿泊させるためには保健所の許可を受ける必要があります。無許可でお金を取って人を宿泊させると、旅館業法違反になり、罰則もあります。アパートなどは宿泊とは異なるのでこの法律の範疇ではありません。この法律では設備等によって4種類の宿泊施設を設定していて、それぞれ要件が異なります。

(1)ホテル営業

洋式の構造、設備であって(3)、(4)以外のもの。

(2)旅館営業

和式の構造、設備であって(3)、(4)以外のもの。

(3)簡易宿所営業

宿泊する場所を多数人で共用する構造、設備で(4)以外のもの。

(4)下宿営業

1ヶ月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて営業するもの。

ゲストハウスは多くの場合(3)簡易宿所の許可を取得しています。僕も(3)の許可をいただく予定です。

許可を受ける為の要件は、立地、設備の基準、申請者が旅館業法に違反していないか、などです。詳しく知りたい人は最寄りの保健所に行って資料を貰いましょう。僕は「旅館業を経営しようとするみなさんへ」というA4片面印刷5枚の資料を貰いました。

民泊について

数年前から問題になり、最近規制緩和が進んでいる民泊についてです。僕は基本的に民泊に賛成しています(トラブル回避の為の最低限のルールは必要だと思いますが)。多くの宿泊施設の経営者が考えるように、民泊によって許可を受けた施設が不利益を被る可能性は理解していますし、こちらは営業許可を受ける為の設備投資も大きい為、価格も一般住宅を貸すよりも割高になる事もわかっています。ですが、貸したい人がいて、借りたい人がいるなら仕方ない事だとも思います。

民泊は無許可で営業している所が多く、旅館業法の罰則が適用される可能性があります。現在の罰則は懲役6か月以下、罰金3万円以下とかなり軽いものですが、近隣住民とのトラブルなどが指摘されていて、近い将来に罰金100万円以下に引き上げられる改正案が通ると思います。

2017年6月に民泊法が可決され、施行が2018年6月に決まったようです。民泊経営を考える場合は国のガイドラインと、これから制定されるであろう地方自治代の条例を良く調べて2018年6月15日以降に営業開始をするようにおすすめします。

消防法

宿泊施設は不特定多数の人間が出入りする施設なので、消防法にのっとり必要な器具などを備え付ける必要があります。これは施設の大きさや構造によって大きく異なるのですが、小さな施設(300㎡以下)であれば無線式の自動火災報知設備(自火報)の設置で問題ないはずです。他には非常灯や消火器などが必要になるかもしれません。大きな建物であればスプリンクラーの設置などが必要になります。検査・確認は消防署の管轄ですが、実際の施工やどこに設置するかなどは「消防設備士」に相談するのが良いでしょう。自火報を設置するには「消防設備士 乙種4類」の免許が必要です。各地域に防災設備屋さんがあるので相談してみましょう。

宿泊施設は半年に1度の設備の点検と消防署への報告が義務になっているので、自分で資格を取得しようかとも考えたのですが、点検には実務経験が必要らしくあきらめました。検査費用はそれほど高くないので、自分で資格取得する費用対効果はそれほど高くありません。

消防法で気をつけなくてはいけないのは、「既存不適格」という考えがないという事です。建築基準法であれば、建設時(着工時)の法律にのっとり建設した物であれば、その後の法改正により建築基準を逸脱したとしても、即座にすべて直せと求められるわけではありません。

しかし消防法はかなり厳しく、法改正がなされると以前からの建物も新しい消防法の適用になります。多少の猶予期間はあったとしても「古いから許して」が通用しません。

建築基準法

建物は建築基準法にのっとり建設しなくてはいけません。そして建物が違法建築ではない事を証明するために建築確認という事を行います。建築前に図面を提出して許可をもらい(確認申請)、建築後に図面通りに建てられているか確認(建築確認)をしてもらいます。ゲストハウスは宿泊施設なので、一部一般住宅と基準が異なる部分があります。設計士の方や役所とよく相談するのが良いでしょう。宿泊施設(特殊建築物)でも100㎡以下の建物であり、都市計画区域外であれば建築確認が必要ない場合があります。しかし融資の条件として建築確認済み証の提出を求められるかもしれませんので、各方面とよく相談しましょう。

建築確認はすでに建築されている建物では取得することができないようです(完全にできないという訳ではないかもしれません)。古い建物を改築してゲストハウスにしようとする場合などは建築確認を取っている建物かなども重要な点になると思います。

建築物には用途が定められており用途を変更する場合にも確認申請が必要になる可能性があります。例えば、「一戸建ての住居」として建築された180㎡の木造平屋建てがあるとします。この場合の建物に確認申請は必要無い為、申請無しで建てました。その物件を購入し用途を「ホテル又は旅館」に変更しようとした場合、100㎡を越えているので確認申請が必要です。しかし、建設当時に申請を受けていないので図面が無く、内部構造がどうなっているのかわからないので許可が下りない、という可能性があるという事です。

飲食業

飲食業の営業許可は(宿泊業と同じく)保健所が行います。飲食業の許可を受ける為には厨房設備などの要件を満たしている必要があります。2槽式のシンク、手洗い場、温度を測れる冷蔵庫などの要件があります。各保健所によって多少基準が違うようなので、自分の管轄になる保健所とよく相談して、問題ないか確認してもらいましょう。

お金を取って人に飲食をさせる場合は飲食業の許可が必要です。飲食業の許可はその場で食べたり飲んだりすることを前提にした許可です(持ち帰りが可能な物もあります)。飲食業の許可を受けずに営業すると2年以下の懲役、100万円以下の罰金が科される可能性があります。また、飲食業を営業するためには食品衛生責任者を置く必要があります。責任者には調理師免許を持っている人や講習を受けた人などがなれます。

食品を扱う営業許可はたくさんあり、どのような事をしたいかによって許可の種類が異なります。例えば製造ではなく販売をしたいだけでも、「乳類販売業」「食肉販売業」「魚介類販売業」「氷雪販売業」「食料品等販売業」(弁当などの調理せずに食べられるもの)などがあります。問題は温度管理をしっかりしないと傷んでしまう食品を販売するという事です。なので、レトルト食品などの販売には許可がいらないようですが、店員が温めたりする場合は飲食業の営業許可が必要です。

自分のしたい事が法律に触れないか気を付けて調べてみましょう。

酒類販売業

飲食業の許可を受ければアルコール類の提供も可能です。しかし、缶ビールや瓶ビールをその場以外で飲むことがわかって販売するためには、酒類販売業免許が必要になります。飲食業と比べて実務経験や資本金などのハードルが高い許可(免許)です。酒類販売業の免許があると卸売業者から安く酒類を仕入れることができます。しかし、安く仕入れて飲食店で高く売る事は禁止されているようです。酒類販売はあくまで小売として販売するためで、酒類販売と飲食業を同じ経営者が行うためにはそれぞれ別の帳簿で管理する必要があるようです。

ホテルに設置してあるビールの販売機の値段が高いと思った事はありませんか?あれは宿泊者が飲むことを前提にして、一般の小売業から仕入れて販売しているからでしょう。卸業者から仕入れることはできないはずです。

最後に

日本は規制が厳しいといわれる国です。なので海外で新しく始まったサービス(AirbnbやUber)を日本で始めようと思っても何かしらの規制に引っ掛かります。ルールをガチガチに固めることで提供するサービスの品質をある程度担保する事はできますが、新しい発想の商売の芽を摘んでしまう事にもつながります。海外でウケて日本に来たから規制緩和、なんてことを続けていると国際競争力はいつまでたっても伸びないでしょう。

自分が始めたい商売がルールに引っ掛からないかを良く調べてみましょう。場合によっては海外で始めた方がうまくいくこともあるかもしれません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする